日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年2月3日話したくなる工夫をしよう!

大前研一さんのtwitterで次のツイートに目がとまりました。
面白い仕事と面白くない仕事というのはない。面白い仕事のやり方と面白くない仕事のやり方があるだけだ。
なるほど、と思いました。



例えば、コピーを取るという仕事を例に考えてみましょう。
上司「Sさん、この資料のコピー10部、お願いね」
S「わかりました!」
Sさんは丁寧にコピーを取り、きっと会議で使うだろうからとクリップで留めました。
S「できました!」
上司「ありがとう。あっ、ちゃんと留めてくれたの。気が利くね~」
Sさんはコピーを取る、という仕事に真面目に、そして自分なりに気を利かせて取り組みました。

では、同じ仕事をTさんの例で見てみましょう。上司からコピーを10部頼まれるところまでは同じです。Tさんはコピーを取りながらその資料を読み、「なるほど~」と書かれたことを理解しようとしました。
そしてコピー終了後、
T「コピー終わりました。この資料の新しい戦略、面白そうですね」
上司「うん。うちの部門の目玉だからね。どこが面白いと思ったの?」
T「まずSNSの活用は時流に合っているし、この戦略のターゲットが若年層なので訴求力がありそうです。それに、その使い方が~」

いかがでしょうか?
SさんもTさんも真面目に仕事に取り組んでいますが、その姿勢はかなり異なります。Sさんは、コピーを取るということに意識を集中させています。Sさんがコピー取りそのものが好きならばよいでしょうが、そうでないならいずれ飽きてしまいコピー取りは面白くない仕事になってしまうかも知れません。一方、Tさんはコピーを取りながら新たな情報を得ています。そして、それに自分なりの解釈を加えています。Tさんは今後もコピーを頼まれる度に新たな情報を得て、それに自分なりの見解を加えていくことでしょう。従って、Tさんにはコピー取りは新たな情報が得られる、ワクワクする仕事となるでしょう。

この例のように、物事は自分がどうとらえるかでその意味合いが違ってきます。
これは話をする場合でも同じなのです。

例えば、役目上、社員に安全運転に気をつけるように言わねばならないとします。上司から言われて、仕方ない、と思って通り一遍の話をしても誰も聞いてくれないでしょう。自分もしたくないし、誰も聞いてくれないので話をするのはつまらない仕事になってしまいます。しかし、なぜ安全運転をしないといけないか、を考えて自分でも納得できる話にするとどうでしょう。
「今日から交通安全週間が始まります。皆さん、一層の安全運転を意識してください。もし一瞬の気の緩みや眠気のせいで、万が一、人をはねてしまったことを想像してください。その人に対するお詫びの気持ちや自分自身の後悔などで精神的にものすごい負担がかかります。また、警察や被害者の方へのお詫びなどで膨大な時間を費やします。その他金銭的な面も含めて、今の皆さんの普通の生活が一瞬にして地獄のような日々になるのです。そんなことにならないよう、安全運転には充分に留意してください」

こうした話をして聞いている人に「なるほど」と思ってもらえたら、話をすることも面白くなっていくでしょう。どんなにしたくない話でも捉え方や工夫の仕方次第で、したい話になるのです。ぜひしたい話をする工夫を重ねていただきたいと思っています。

日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中セミナー、オンライン短期集中トレーニングコースでは、したい話にするポイントをお伝えし、それに即したトレーニングを行っています。また話に現れるその人の心の持ち方も重視して講義やトレーニングを行っています。その成果は多くの受講生が実感されています。ぜひ一度「受講者の声」をご覧ください!
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